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2021.10.12

想像と全然違う顔!とっても独特な中ノ沢こけしの魅力を体験!さらに自宅に眠った中ノ沢こけし募集も!?

想像と全然違う顔!とっても独特な中ノ沢こけしの魅力を体験!さらに自宅に眠った中ノ沢こけし募集も!?
東北地方の温泉地の定番土産である、こけし。
伝統的なものからオリジナルのものまで、様々な顔のこけしがありますが、こけしって、目が細くて福々とした表情で、眺めているとほっこりしますよね・・・。

ですが…このこけし。イメージをずいぶん超越していますね!
このこけしは「中ノ沢こけし」といって、猪苗代町の中ノ沢温泉周辺でつくられてきたものです。
中でも大きく見開いた目の周りに赤い化粧を施したものは、「たこ坊主」の愛称で親しまれ、来年で誕生100周年を迎えます。
 

「最近ではようやくかわいいといわれるようになりましたが、どちらかというとインパクトが強いというか、ちょっと目が強すぎて子どもが泣いちゃった」
そう話すのは、猪苗代地方史研究会の安部なかさんです。

およそ100年前、この「たこ坊主」を生み出したのが、岩本善吉(ぜんきち)という人です。
生まれは栃木県で、呉服屋の次男坊だった善吉はいろんなものに興味をもち、鮮やかな着物に囲まれたことで色彩感覚が豊かだったということです。
そして、ものを作ったりするのも大好きで、何でも覚えたいと好奇心旺盛。
ろくろの木地師と出会って修行した際には、簡単にはいかない作業も器用にこなしたことということです。
旅芸人の手伝いなどをしながら全国を回って様々な人の話を聞き、知識を蓄えていきました。

大正時代、近くの硫黄鉱山に全国各地から働き手が集まることから、中ノ沢温泉街が賑わっていたころ、40歳代半ばの善吉はふらりと中ノ沢温泉にやってきました。


細かなことをとやかく聞かない温泉街の居心地のよさもあり、“一宿一飯の恩義”で、「泊めてもらったお礼に踊ります、手伝うことはありますか」などと接してるうちに善吉は少しずつ地域になじんでいきました。
木地の修行をつんだ経験からお盆を作ったり、いろんな人からの頼まれごとをしたりしていくうちに、東北でこけしを土産物として買ってきた人から「善吉さんは器用だし、こういうのを作ってみたら」と声がかかったんだそうです。

山間の集落も何か特徴を出さなければ生き残っていけない。温泉だけではなく、地域振興のためにはこれからはお土産品を作らなくては…という時代の流れの中で、もともと個性的な性格だった善吉が作ったこけしは、一般的なかわいさとは程遠い作品に仕上がりました。
しかし、「な~にやってんだ~この~」とついついツッコミたくなるようなおどけた親しみやすい表情が、見れば見るほど味わい深いのです。

9月、郡山市で約250本の「中ノ沢こけし」の展示会とトークイベント・絵付け体験が開催されました。実際に工人に教えてもらいながらの絵付け体験で、はじめはどれか気に入ったこけしを真似て描いてみるといいとのことで、このこけしに決めました。
 

まずは顔から。右利きだと、右側の目(こけし的には左目)はまだかけそうですが、反対側はうまくかけそうにありません。
そこに工人のアドバイス、「そういうときは逆さにしてかけばいいんですよ」。

むしろ最初にかいた方の目より、筆の運びの感覚がわかりうまくかけました。
はじめは、「化粧をするときのアイラインのようなものだろうか。案外うまくいくのでは」と甘く考えていたのですが、顔にしかり、胴体のアヤメの柄もしかり、早速「球体に描く」ことの難しさに直面しました。

次に、「中ノ沢こけし」特に「たこ坊主」の真骨頂でもある目の周りの赤い化粧です。
赤の塗料を水で少しずつ薄めて濃さを調整します。色の強さも決まりはないそうですが、この朴とつとした表情を見ていると、何となくもう少し濃い方がいいかな?という気がしてくるのが不思議です。
 


ろくろ線を入れ、ついに完成です。ちなみにこの日同じテーブルで絵付け体験をした方は、こけしの絵付け自体が初めてとのことだったのですが、この仕上がり(向かって左側)で、特に胴体の部分は工人の方もうなる出来栄えでした。

100年の間に人から人へ、師匠から弟子たちへと地域の中で息づいてきた「中の沢こけし」。その魅力を体験できるイベント「中ノ沢こけし祭り」が、10月17日(日)に猪苗代町の中ノ沢体育館などで開催されます。

こだわりが強く、気に入らないこけしは壊してしまったことから中ノ沢地域にもあまり残っていないという善吉の作ったこけし。
すでに中ノ沢こけしを持っているという方は、一緒に連れて行くと先着順で中ノ沢温泉の入浴券がもらえるなど特典も。
温泉街の文化振興を願ってこけしづくりが始まり、その思いや文化を次の世代に伝えていきたいと企画されたイベントです。
 


こけしは紫外線に弱く蛍光灯でも色が飛んでしまうため、コレクターは重箱に入れて保管し、見るときだけだしているそうです。それほど繊細で、同じものは2つとない奥ゆかしさのあるこけしですが、顔のインパクトが強い。その絶妙なバランスが、「中ノ沢こけし」の魅力なのかもしれません。
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